リサイクルの必要性

はじめに

リサイクルの必要性

これまでの社会の成長と環境・廃棄物処理への影響

私たちの社会は、この数十年の間に大きな成長を遂げました。
戦後の高度経済成長期には、社会の成長と共に生活も豊かになる一方、地球の天然資源を大量に消費し、大量に生産する時代を迎えました。
その結果、家庭や企業から出る大量のゴミ(=廃棄物)問題が深刻化し、「廃棄物の処理」という問題に直面します。
 
廃棄物は増えつづけ、不適切な処理による公害問題の顕在化、最終処分場の不足による不法投棄事件が発生しました。度重なる健康被害や環境汚染を経て、廃棄物処理法や各種リサイクル法など、規制が強化されてきました。
 
社会的にも廃棄物の適正処理・再資源化・環境負荷の低減が求められるようになりましたが、記憶に浅い、この数十年のお話です。過去の経験を踏まえ、コンプライアンス(倫理観・法令遵守)の徹底は企業活動の絶対条件と言えます。

環境問題とこれからの課題

地球の天然資源はこのまま消費しつづけると数十年後に使いきってしまう可能性が示唆されています。
 
温暖化や環境汚染が深刻化する近年、これまで大量消費してきた天然資源はこの後も消費しつづけなければならないのでしょうか?
天然資源を守るには、いかに新たな資源を使わず、今あるものを活用して資源を供給できるかが今後の大きな課題となります。
「リサイクル」はその問題を解決する重要な役割を担っていくにちがいありません。
 
産業廃棄物の一種である金属くず(非鉄・鉄くず、鉄スクラップ)はリサイクル率が高く、適正に処理することで生まれ変わることができます。
廃棄物を再資源化し、資源を循環させる社会の実現が必要です。

金属資源を循環させる社会をめざして

社会には、資源を使って製品をつくる産業と、製品の利用後に排出される不用物や廃棄物を回収・処理、再資源化する産業の2つが存在します。
 
私たち株式会社 安田商店は後者の産業として、廃棄物の適正処理に努め、良質な再資源化した原料を、つくる産業へ安定して供給する役割を担っています。
一方で、つくる産業においても再資源化した原料での製品づくりや再資源化しやすい製品づくりなど、資源を循環させる社会の実現には両者の積極的な連携が必須です。
 
当社は、 素材をめぐらせ「つくる」を支える を掲げ、つくる産業と連携しながら金属資源を循環させる「金属リサイクル」の仕組み実現を築いてまいります。

金属リサイクルのメリット

私たち日常生活のいたるところに存在する金属製品。
金属製品でも多くを占める鉄製品は、天然資源である鉄鉱石と石炭をつかってつくるものと、再資源化された原料でつくるものがあります。
身近に存在する金属くず(鉄くず、鉄スクラップ)を例に、金属リサイクルで再資源化するとどのようなメリットがあるか見てみましょう。

1.高リサイクル率かつ品質劣化がほとんどない

金属くずは、排出される全体量のうち90%が再資源化します。
金属くずから再資源化された鉄鋼原料は、天然資源からつくられる鉄鋼原料と比べて品質劣化がほとんどなく、ほぼ同品質を得ることができます。

2.資源の有効活用ができる

天然資源の鉄鉱石と石炭を得るには、鉱山を削らなければならない上、鉱石1tにつき数mgしか原料を得ることができません。
再資源化する場合、主原料は排出された金属くずです。山や自然を削る必要がなく、資源を有効活用できます。

3.国内で原料供給ができる

天然資源の鉄鉱石と石炭を得るには、日本では100%を海外からの輸入に頼らなければなりません。
再資源化する場合、国内で原料供給できるため輸入に依存することがなく、輸入制限や税引き上げ・価格高騰などの問題が回避されます。

4.省エネルギー

天然資源は余分なものも多く含まれるため、鉄鋼原料となるまでの工程でゴミも多く発生します。
再資源化する場合、この工程が省かれ、ゴミ処理の工程など消費エネルギーや設備費を削減することができます。

5.温室効果ガスの削減、脱炭素につながる

天然資源は鉄鋼原料となるまで、「高炉」で銑鉄をつくった後、「転炉」で鉄鋼原料がつくられます。
再資源化する場合は、「高炉」の工程が省かれ、「電炉」で鉄鋼原料がつくられます。
再資源化すると、天然資源をつかう工程と比べ、排出される二酸化炭素(CO2)が7割削減でき、温室効果ガスの削減・脱炭素につながります。今や金属くずは、グリーン素材として世界的に脚光を浴びています。